現代ゲーム博覧館

フリーゲームを中心に、個性的な作風のゲームを紹介するシリーズです。
昔ながらのゲームレビューと、(気どった)芸術評論の“あいのこ”のようなノリです。


序文

ビデオゲーム。その表現様式は、文化・あるいは芸術として認められつつあり、社会における「ゲーム」の影響力は日に日に高まっている。

しかしビデオゲームには、音楽やイラスト・マンガといった形式と比較して、ある弱点を抱えているように思える。
その弱点とは、個人の魂に突き動かされた表現が、ある種の“逸脱”を抱えた作品が、どうしても生まれ辛いということだ。

その理由は二つ挙げられるだろう。
一つ目は、複数人での制作が基本であること。特にタイトルの規模が大きくなるにつれ、完成のためには分業化が必須となり、そして“多”の力によってその表現は均質化されてしまう。一人が監督となって細かく指示を出す場合でも、何十人・何百人のチームで作業するにつれ、やはりどこかで“なだらか”になってしまいがちだ。
二つ目は、そもそものルーツが大衆娯楽であり、同時に商業の流れに乗る“売り物”でもあること。現状でもビデオゲームはやはりエンターテイメント産業の側面が強く、その場合にゲーム作りにおいて優先されるのは、やはり“我”ではなく“他”になってしまうだろう。

もちろん、もうだいぶ前から「インディーゲーム」という今挙げた理由に当てはまらないゲームが普及しているのは承知している。
しかし一方で、やはり稼げなきゃやってられんぞコノヤローという風潮もあり、結局は「ゲーム業界」の渦に吸収されてしまっているなぁという感情も覚える。

だがしかし、ゲームという体裁を取りながらも、そうしたゲーム業界の渦に巻き込まれない、孤高の“我”を通したゲームは存在しないのだろうか?
いや、そんなことはない。私の運営するDiscordサーバー「顎集会」では、そのようなゲームを探し求め、見つけた作品についてその魅力を語りあかしてきたのだから。
そうしたゲームを、私たちは現代ゲームと名付けた。「現代アート」や「現代音楽」があるのなら、ゲームにだって“現代”が付いてもおかしなことはない。

この連載〔現代ゲーム博覧館〕ではそんな“現代ゲーム”を、プレイルポのような形でご紹介させていただく。
さぁ、コンテンポラリー・ゲームの世界へ、いざ参らん!



バックナンバー

1.田丸でGO!

2.高高高校第一弾野球部

3.やまちゃんカーレース

4.るいゲー



 

ファビコンは『るいゲー2』『田丸でGO!』に登場する“田丸 恵美”さんのドット絵(友人作)です。
メルフィスワールドさんから、快く使用のご許可をいただけました!



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